Cypress Hill / Latin Lingo - 煙が立ちこめる深夜の裏路地、異形のLatin HipHopが蠢き出す

Cypress Hill / Latin Lingo (Prince Paul Mix)

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煙が立ちこめる深夜の裏路地、異形のLatin HipHopが蠢き出す。


Latino HipHopという新たなスタイルを切り開いたCypress Hill

1992年、US HipHopシーンに異様な存在感を放って登場したグループがCypress Hill。B-Realの甲高い鼻声ラップ、Sen Dogの野太いシャウト、そしてDJ Muggsによるダークでサイケデリックなトラックメイク…その組み合わせは、それまでの東海岸/西海岸のHipHopの文脈とは微妙に異なる「Latino HipHop」という新しい空気をシーンに持ち込みました。今回レコメンドするのは、デビューアルバム Cypress Hill からの3rdシングル、Latin LingoのRemixであるLatin Lingo (Prince Paul Mix)。オリジナルを手掛けたDJ Muggsのビートも十分に不穏でスモーキーな仕上がりでしたが、このPrince Paul Mixはそれをさらに深い闇へと引きずり込むような異形のリワークとなっています。


Prince Paulが描いた異形のサイケデリックHipHop

Remixerは、De La Soulのプロデュースで知られる奇才Prince Paul…いわゆるネイティブ・タン系のユーモラスで知的なHipHopを作り上げた人物です。そんなPrince Paulが、ストリートの煙たい空気をまとったCypress Hillを料理したらどうなるのか——その答えがこのRemixに詰まっています。イントロからして不穏で重く引きずるようなベースラインがゆっくりと鳴り始め、The Meters / Tippi-Toes由来のファンクネスを感じさせるグルーヴが忍び寄る。その背後には奇妙なサウンド・コラージュが漂い、ベートーヴェンの交響曲第5番の断片や不気味な効果音が浮かび上がる。Prince Paulらしい「音の悪戯」が散りばめられ、まるで夜中の怪しいカーニバルのような空気感を作り上げています。


ラティーノ文化とHipHopが融合した歴史的な1曲

そしてビートが落ちた瞬間、B-Realのラップが滑り込む…Prince Paulは彼の声を単なるラップではなく楽器として扱っているようで、テンポ感をわずかに引き伸ばした重いビートの上で、あの独特のフロウがさらに粘り気を帯びて響く…そこへSen Dogのシャウトが絡み、スパングリッシュのリリックがストリートの空気を濃くします。歌詞のテーマはタイトル通りLatin Lingo…英語とスペイン語が混ざり合う言語文化をそのままHipHopの表現に落とし込んだもので、当時まだメインストリームでは珍しかったラティーノのストリート文化を堂々と提示した点でも象徴的な1曲となっています。1990年代初頭、HipHopはまだ地域色の強いカルチャーでした。その中でCypress Hillは、ラティーノというバックグラウンドを前面に押し出しながらBillboardチャートやラジオでも支持を得てゆき、彼らの成功はその後のラティーノ系HipHopアーティストたちへの道を開いたと言っていいでしょうね。


フロアを異世界へと誘うPrince Paul Mix

DJ視点で言えば、このPrince Paul Mixの魅力は独特の空気感でしょうね〜グルーヴ自体は決してハデではない…しかし、スモーキーでダークな質感と奇妙なブレイクがフロアに独特の緊張感を生み出しています。Cypress Hillのオリジナル・バージョンがストレートなストリート感を持つとすれば、このPrince Paul Mixはまるで悪夢のようなサイケデリックFunkっ!…HipHopの歴史の中でもかなり異端で、だからこそ今聴いても強烈な個性を放つ1枚です。針を落とせば、そこはラテンの裏路地…煙とビートが絡み合う異次元のグルーヴが、静かに蠢き始める。

 

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